お口に影響があるお薬~その1お口が渇く

2024年02月03日

西宮北口 歯医者 口腔乾燥症薬剤全体の約1/4である700種類以上に口喝、口内乾燥、唾液分泌減少の副作用があると言われています。

唾液は、様々な刺激で分泌されますが、その一つに、唾液腺細胞に副交感神経刺激が加わると、アセチルコリンが細胞表面の受容体を刺激して唾液を分泌する仕組みがあります。この受容体をブロックする作用がある薬によって唾液分泌が低下します。

薬による副作用の口渇に関しては仕組みのすべてが解明されてはいません。

口腔乾燥の副作用がある薬を複数服用している場合には口腔乾燥症が発症しやすいことが知られています。

服用薬が原因で起こる口腔乾燥症を薬剤性口腔乾燥症と言います。

西宮北口 歯医者 薬

抗アレルギー薬

抗ヒスタミン剤がおもに使用されており、花粉症や蕁麻疹でお世話になる方も多いかもしれません。OTC薬として薬局で販売されているものもあります。

第一世代抗ヒスタミン剤より第二世代と言われる方が副作用は少ないと言われています。

第二世代のアレグラやアレジオンなどの花粉症薬の副作用に口渇が入っており、口渇の頻度は0.1~5%未満です。

降圧剤

血圧降下剤のアムロジン・アダラートなどは副作用に口渇がありますが、歯科で問題になるのは口渇よりも歯肉肥厚の方が多いように思います。

ディオバンなども0.1%未満の口渇です。

抗うつ薬

三環系、四環系、SSRI、SNRI、NaSSAという種類があります。

SSRIは2000年以降、NaSSAは2009年に発売された比較的新しい薬です。

三環系の一例として、アモキサン、四環系はパキシル、ルボックス、デプロメール、SSRIはサインバルタ、トレドミン、NaSSAはリフレックス、レメロンという薬品名で知られています。

差はありますが、高い薬で20%の確率で口渇と添付文書に記載されています。

他の種類の薬に比較して口渇の頻度は高めです。

抗不安薬

口渇の頻度は、デパス、メイラックス、セルシンは0.1~5%未満、ワイバックス0.1~3%未満です。

睡眠薬

口渇の頻度はマイスリーで5%未満と若干高いものの、サイレース・ハルシオン・ドラールで1%未満、レンドルミンで0.1%未満です。

感冒薬

PL顆粒0.1~5%未満で口喝があります。

他、市販の風邪薬にも口渇があります。添付文書をよく読んでください。

鎮痙薬

ブスコパンで5%以上の口喝があると言われています。

他の三環系抗うつ薬や抗アレルギー薬と一緒に飲むと特に口渇が増強することがあります。

抗不整脈薬

シベノールは1%~2%、リスモダンで0.1%未満と差がありますが、口渇を生じる可能性があります。

利尿薬

高血圧や心不全の方に利尿剤は処方されるのですが、何種類か系統があります。

口渇の頻度は、アルダクトン・フルイトランは0.1~5%未満ですが、2019年に発売されたサムスカは56.9%とかなりの高頻度となっています。

※サムスカは入院の上で使用開始が望ましいと言われている薬です。当院でまだ服用している方にお会いしたことがありません。

骨粗鬆症治療薬

口渇は、ボナロンで1%未満、リカルボンは頻度不明、ランマークで1%未満とありますが、それほどの頻度ではないようです。

糖尿病治療薬・その他

糖尿病治療薬のGLP-1ダイエットが話題になっていますが、糖尿病の治療薬のSGLT-2阻害薬のジャディアンス・ルセフィ・フォシーガというお薬もダイエット効果が期待できるということで、知っている方もいるかもしれません。

SGLT-2阻害薬は0.1%~5%未満ですが、口渇の副作用があります。

BMI35以上の高度肥満症の方の治療薬、サレノックスという食欲抑制剤にも口渇感が5%以上の頻度で起こるようです。

薬剤口腔乾燥症の治療法は?

薬剤が原因で口腔乾燥症が起こっているか、他の病気によって起こっているかどうかは、医科での鑑別診断が必要となります。

薬剤口腔乾燥症に対しては、歯科医師が勝手に薬剤を変更したりはできませんので、歯科で行う治療としては、対処療法となります。

うがい薬を使ってうがいをしたり、唾液腺マッサージで唾液が出るよう促したり、口腔保湿剤などでお口の中を保湿するなどして、改善するかを確認することになります。西宮北口 歯医者 口腔保湿剤

※当院ブログ 唾液は大切 https://www.aobahiro-dc.com/column/2023/2800/

実際、薬剤性口腔乾燥症かどうかの診断や原因薬剤の特定は難しく、対処療法になることが多く、改善にも時間がかかります。

健康でいるのが一番ですが、お薬のお世話になった際には、薬剤から起こる口腔乾燥もあるということは覚えておいて欲しいと思います。

※参考サイト 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 情報検索

薬の添付文書等を確認することができます。

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/