口呼吸から鼻呼吸へ!「あいうべ体操」のススメ

2023年08月21日

突然ですが、呼吸してみてください。

鼻で呼吸をしていますか?口で呼吸している方が楽に感じますか?

呼吸は当たり前にしているので、意識したことがあまりないかもしれません。

もし、安静時にも口呼吸なら、鼻で呼吸をするように意識してください。

鼻で呼吸することは大切なことなのです。

鼻呼吸はこんなにすごい

冷たい空気を吸い込んでも、鼻呼吸をした場合は、通過した空気の温度が体温近くまで上がります。冷たい空気は気管支への刺激が強くなります。鼻を通すことで、適温の空気が気管支へ送られるのです。

 

空気は鼻を通ることで加湿されます。鼻腔からは水分が1日当たり1L分泌されていますが、70%は加湿に使われています。空気が鼻で加湿されることで、体に必要な温度と湿度を取り込むことができます。

西宮北口 歯医者 鼻呼吸と口呼吸

また、ウイルスは乾燥に強く、湿気に弱いとされています。加湿は、バリアの役割もはたしているのです。

鼻の中も防御反応に優れています。

まず、鼻毛で大きな埃はここでせき止められます。

鼻腔、喉頭、気管などの粘膜には、線毛と言われる細い毛が生えていて、常に運動して、埃、細菌、ウイルスを外へ排出しようとします。寒くなると線毛の働きが鈍くなると言われていますが、鼻呼吸で適温の空気にすることで排出する働きも保たれます。

一方、口呼吸の場合は、直接のどに異物が多く入った空気が直接喉に入ってしまいます。

バリアなく、無防備な状態が口呼吸ということになります。そのため、ウイルスに感染する可能性が高まると言われています。

歯科において口呼吸は、口の中が乾燥し唾液が減少するため、唾液の自浄作用や、殺菌作用が働きにくくなり、虫歯や歯周病になりやすくなったり、口臭や着色の原因になったり、口周りの筋肉のバランスにより歯並びが悪くなったりするなどの影響があります。

口呼吸の原因

風邪やアレルギーなどで鼻炎が起こっている場合などで、鼻が詰まっている場合は、口呼吸になってしまいます。お子さんの中には、アデノイドが大きくて、鼻の通りが悪いということも原因になります。

この場合は、専門の医療機関で診断、治療を受けてまずは鼻の通りをよくする必要があります。

この他、小さいときからの柔らかい食事、口を使った遊びの減少など、お口周りの筋肉を使うことが昔に比較して少なくなり、口周りの筋肉が発達せず、お口ぽかんになり、口呼吸になるということもあります。最近は長いマスク生活で口呼吸が癖になってしまったということもあるようです。

マスクを外すことが多くなってきたかと思いますが、外した際には、鼻で呼吸することを意識してみてください。

口周りの筋肉を鍛えよう!あいうべ体操

歯科関係者であれば、だれでも知っている体操「あいうべ体操」です。

考案したのは福岡の内科医である今井一影先生です。

口呼吸から鼻呼吸へするためには、お口周りの筋肉を鍛える必要があります。

そのための体操が「あいうべ体操」です。

西宮北口 歯医者 あいうべ体操


「あいうべ体操」は簡単!

次の4つの動作を順に繰り返すだけ

1つの動作は4秒くらいしっかりと。

声は出しても出さなくてもOK

1.「あー」と口を大きく開く 喉の奥が見えるくらい大きく!

2.「いー」と口を大きく横に広げる 前歯が見えるくらい口を思い切り横に広げる!

3.「うー」と口を強く前に突き出す

4.「べー」と舌を突き出して下に伸ばす 下顎の先端まで舌を伸ばす

1~4を1セットとして、1日30回セットを目安にしましょう。

30回をまとめてすると大変なので、10回×3、3回に分けるといいと思います。

 

体操を始める前に、まずは、今の自分の舌の位置はどこにあるか確認しましょう。

1.口蓋(上あご)

2.上前歯の裏側

3.下前歯の裏側

4.どこにもあたっていない

では、あいうべ体操をまずは10回してみましょう。慣れないと、なかなか大変ですが頑張りましょう。

・・・お疲れさまでした。

自分の舌はどこにありますか?

口蓋(上あご)に舌がつくようになっていませんか?

舌はスポットと言われる部分についているのが理想的とされますが、あいうべ体操をすることで、舌が本来の位置にキープされるようになっていくのです。

食後3回を習慣にするということでもいいですし、お風呂で湯船につかる度にするというのもいいですね。

顎関節症で顎の開け閉めがつらい場合は、回数を減らすか、「いーうー」を繰り返してもいいそうです。

あいうべ体操はどこでも簡単にできますので、是非、習慣にしてくださいね。

口あそびをしてみましょう

口を使った遊びというと何を思い浮かべますか。

口笛、シャボン玉、にらめっこ、風車というところがすぐ思いつくところでしょうか。

他には、風船を膨らませる、吹き戻し、紙風船、チューイングガムを膨らませる、おもちゃのラッパを吹く、草笛などもあるのですが、こういう遊びをしているお子さんを見たことはありますか?

今はゲームが主流になっているのか、あまり見かけませんね。ときどき公園で小さなお子さんがシャボン玉をしているくらいでしょうか。

最近は、感染対策のため、そもそも口を使う遊びはしていないのではないでしょうか。

お口を使う遊びは、誤嚥の危険性もあり、管理が大変なため、集団生活においては経験することが少なくなってきたようです。

口笛はうるさいから、シャボン玉は液の誤嚥があるから、風船あそびは誤嚥があるから、ガムをかむのは行儀が悪いから、ラッパはご近所迷惑だからということで、集団でも個人でもなかなか経験できない遊びになってきているようです。

口を使うことが減ると、口周りの筋肉も使われないので、お口ぽかんになりやすくなります。お口を閉じる力が弱いと、大人の歯に生え変わった時に、出っ歯になりやすくなります。

MFT(口腔筋機能両方)と言って、口の周りの筋トレをすることで改善する方法もありますが、小さいお子さんの場合、なかなかトレーニングは大変です。

そこで、口を使った遊びをしながらお口周りの筋肉を鍛えよう!になるわけですが、ある保育園で「口遊び」を導入したところ、口腔機能が改善したという報告があります。

ある保育園で、毎日「あいうべ体操」と「風車まわし」をさせて、他の口遊びを追加して飽きさせないように遊ばせたところ、半年後には、ほとんどのお子さんで口腔機能に改善が見られたそうです。

診療室で、こういうことをするといいですよといっても、毎日指導ができるわけではありませんので、ご家庭で気軽に口遊びをしてみましょう。

口遊びの例

・風車まわし:風車に息を吹きかけてくるくる回します

西宮北口 歯医者 風車あそび

 

 


・吹きゴマ:小さい折り紙サイズの紙でコマを作ります。コマの真ん中に息を吹きかけて回します

西宮北口 歯医者 吹きコマ


・ストローしゃてき:紙コップなどで的を作り、机に並べます。ストローで吹いて、的を倒します。※なかなか回らないときはストローを使用しましょう


・ストローの魚釣り:紙に魚の絵をかき、切り取って机に並べます。ストローで吸って魚を釣ります。

西宮北口 歯医者 折紙の魚つり

 


実際やってみると、どれも面白いのでお勧めです。

※参考サイト みらいくりにっく あいうべ体操

https://mirai-iryou.com/aiube/

※参考文献

クインテッセンス出版歯科衛生士2022Vol46たのしい!無理なくできる!口遊び