子供向け飲料は子供向けではない?虫歯になりやすい飲み物だった!?

2023年05月11日

子供向け飲料、子供用って書いているから、体に悪いものは入っていないはず・・・砂糖もあまり入っていないはず・・・と思ってお子さんに与えているかもしれません。

また、果物ジュースはよくなさそうだけど、野菜ジュースなら体にいいし、飲ませていますという方もいらっしゃいます。小さなお子さんの場合、マグに入れて、時間をかけて飲みますよね。おいしいので、ご機嫌で飲んでくれると思います。

これらの飲み物、体にいいかもしれないのですが、歯にとっては心配なことが・・・。

実は虫歯になりやすい飲み物ということです。虫歯菌が大好きな砂糖の量が多いのです。

1.虫歯の成り立ち

虫歯は、虫歯菌が作る歯垢(プラーク)による酸によって、歯が溶かされる(脱灰される)ことでできます。

脱灰状態は、初期段階では、唾液の再石灰化の働きによって元の状態に戻りますが、再石灰化が脱灰に対して間に合わなくなると、歯に穴が開き、虫歯になります。

虫歯になる条件がそろった状態、虫歯菌、糖、歯の酸に対する抵抗力や唾液の量などの条件がそろっている時間が長くなると虫歯になります。

2.乳歯・幼若永久歯(生えたばかりの永久歯)は弱い

乳歯は成熟永久歯に比べて、5.8倍も酸に対して溶けやすいという報告があります。※Wang(2006)

これは、成熟永久歯に比べて、乳歯・幼若永久歯のエナメル質(歯の表面の目に見える層)の元になるエナメル小柱に存在するアパタイト結晶が小さく、隙間が広く配置されているため、その隙間に酸が入り込み早く脱灰が進んでしまうためです。また、アパタイト結晶が小さいために、浸透してきた酸との接触面積が大きくなり、早く溶解が進みます。

また、乳歯は、永久歯に比べて、唾液やフッ化物で再石灰化が起きにくいと言われています。

構造的に酸に弱いこと、再石灰化が起きにくいことから、乳歯は虫歯に対して弱いのです。

幼若永久歯は、生えたばかりのときが一番弱い状態です。

萌出後エナメル質結晶が唾液のミネラルイオンを取り込み、徐々に成熟することで丈夫になります。この時期にフッ素を利用すると、再石灰化が促進して歯が早く成熟します。

生えたての歯はフッ素が良く効きます。大人の歯が生えてきたら、歯医者さんを受診すると、将来虫歯になりにくい永久歯を作ることができます。ぜひ歯医者さん受診を検討してください。

3.子供向け飲料の糖分

こども向け飲料の砂糖はどのくらい入っているのでしょうか。

WHOは虫歯および肥満予防のために1日当たり遊離糖類摂取量を総エネルギー摂取量の10%未満にするよう推奨しています。また5%にまで減らして、1日おおよそ25g程度に抑えるなら、さらに効果が増大するとしています。

※遊離糖とは、食品や飲料の加工調理でくわえられる糖をさします。また、はちみつ、シロップ、果汁、濃縮果汁といった自然に存在する糖も含まれます。野菜や果物に含まれる糖、母乳や牛乳に含まれる糖は含みません。

あるメーカーの乳酸菌飲料は1本あたり糖類14g、幼児用のりんごジュースは1本あたり糖類11gと記載があります。

かなりの量の砂糖です。朝に乳酸菌飲料、お昼にジュースを飲むとそれだけで1日の摂取量を達成してしまいます。

びっくりしますね。

少しでも砂糖の摂取を抑えるためには、各飲料に入っている砂糖の量を知る必要がありまいす。

まずは、商品の栄養成分表示を確認しましょう。

栄養成分表示には、100ml当たりのエネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩相当量、が表示されています。

「炭水化物」をみてください。炭水化物は糖質と食物繊維とその他(酸味料・甘味料)が含まれた数値です。

横に糖質〇gや糖類〇gと併記されている商品もあります。

記載がない場合の糖質量は、次の式で算出されます。

糖質=炭水化物―食物繊維

食物繊維を含まなければ、ほぼ炭水化物=糖質と考えることができます。

糖質には、多糖類(オリゴ糖・デキストリン・でんぷん)・糖アルコール(キシリトール・マルチトール)・その他(スクラロース)と糖類(砂糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖)が含まれています。

糖質の中でも糖類が虫歯になりやすいものになりますので、原材料名をみて、どのような種類の糖が含まれているか確認しましょう。エナメル質の虫歯になりやすい順に砂糖(ショ糖)>ぶどう糖、果糖>調理でんぷんになります。

糖類があれば、炭水化物=ほぼ糖類となります。

これからは、栄養成分表示を気にしてお子さんに飲み物をあげましょう。

※詳しくはこちら 厚生労働省 e-ヘルスネット

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-012.html

4.糖度について

糖度という指標があります。

糖度が10%こえてくると虫歯になるリスクが高くなるという説があるのですが、子供の野菜・果物飲料はほぼ10%を超えています。

子供ジュレも10%を超えて、高いものは20%近くになるものもあります。

子供イオン飲料は、やや糖度が低く、4%~8%の糖度の範囲です。

お茶以外は基本的に子供飲料全般、糖度が高いと思っていた方がいいでしょう。

ご自身で一度飲んでみると、その甘さに驚くかもしれません。

子供は味に敏感なため、離乳期には特に薄味のものが推奨されていますが、子供飲料は、しっかりと甘いです。

離乳食で、食事は気を付けて薄味にしていても、飲料を甘味の強いものにしていては、子供も強い甘味に慣れてしまいます。

野菜ジュース、果物ジュースなどは、ときどきのごほうびとして、あくまで嗜好品として楽しむくらいにしてみてくださいね。

アメリカの小児学会では、果汁飲料の1日最大摂取量は生後6か月までは与えない、7か月~11か月は避けるべき、1~3歳は120ml、4~6歳は120~180ml、7~18歳は240mlを推奨しています。※異性化糖は含まない100%果汁ジュースを基準として

ダラダラ飲むと虫歯になりやすくなりますので、水分補給は基本的にお水やお茶にするようにしましょう。