入れ歯はなぜ半年経たないと作り直せないの?
2025年10月12日
入れ歯を無くしてしまった、誤って踏んで壊してしまった、ペットにかじられたなど、作ったばかりの入れ歯が使えなくなることがあります。
また、何かあった時のため、壊れてしまったときのためにすぐにもう一つ作りたいといったご要望をいただくこともあります。 しかし、保険診療のルールでは、入れ歯(義歯)を新しく作ることができるのは、前回入れ歯を作ってから6か月以上経過してからでないと作ることができません
目次
1. 保険診療の基本ルール

日本の健康保険制度では、医療費を公平に分担するために診療内容や費用に細かいルールが定められています。
入れ歯の作成については、「前回の義歯作成から6か月未満の場合は原則として再製作できない」と決められています。
2. 6か月待たないといけないの?

ルールですので、待っていただくしかありません。
個人的な意見となりますが、すぐに入れ歯を作れるようになると、医療費の過剰な増加につながってしまうためにそのルールができたのではないかと思います。
日本の保険診療は、患者さんの負担が少なくて済む分、国全体で医療費を負担しています。
短期間で入れ歯を作り替えると、全体で負担する医療費が上がってしまうため、その線引きがされたと考えられます。
あるA医院で作成して、すぐに別のB医院でなら作りなおせるのではないかと考えるかもしれませんが、できません。
3.入れ歯が合わないのだけれど
「食べられないほど痛い」「外れてしまう」といった場合でも、作り直しがすぐにはできないと聞くと不安になる方もいると思います。
しかし、保険診療では以下のような対応が可能です
入れ歯の調整

痛いところがあるという場合に、当たるところを削って調整することで、痛み無く使える場合があります。
また、入れ歯を入れてすぐに何でも硬いものも噛めるというものではありません。
義手、義足と同じように、入れ歯(義歯)にもリハビリが必要です。
柔らかいものから始めて少しずつ負荷のかかる食べ物を食べて徐々に慣らしていきましょう。
痛い場合は、早めに受診して調整してもらいましょう。
部分的な修理
割れたり、ヒビが入ったりした場合に材料を使って補修します。
入れ歯の金具が壊れた時も、金具だけを作り直して、そこだけ取り換えることができる場合があります。
裏打ちのし直し(リベース・リライニング)
入れ歯の内面に材料を足して隙間を埋めたり、フィット感を良くしたりします。
入れ歯を預かる場合と、その場でできる場合があります。
時間のかかる場合もありますので、時間に余裕をもって受診しましょう。
これらは6か月の制限なく、治療が可能です。
4.作ってすぐに入れ歯に隙間がでてくるのはどうして
入れ歯を作って1カ月、ずいぶん隙間ができて食べ物が挟まるようになってしまった、大丈夫なのかと不安になったり、もう一回作ったら合うようになるのではと考えたりするかもしれません。
歯を抜いてすぐに作成した入れ歯は、入れ歯と歯ぐきの間に隙間ができやすくなります。
それは、抜歯した後、回復してくるにつれて、歯ぐきや骨の形が変化していくためです。
変化は数か月続きます。
変化した分、入れ歯と歯ぐきの間には隙間が出ます。
隙間が出た場合は、前述の調整等で対応できます。
入れ歯も使用していくうちにお口になじんでくることもありますので、修理、調整でまずは対応することになります。
隙間がでたら作り直したいという気持ちもわかりますが、作り直すにしても、歯ぐきと骨が安定してから作り直す方が、調整が少なくて済みますので、変化が落ち着くのを待ちましょう。
5.例外的に認められる場合
ごく一部のケースでは、6か月を待たずに新しい入れ歯を保険で作ることが認められることもあります。
たとえば、大きな外傷や病気で歯や顎の状態が大きく変化した場合、認知症で自分で義歯の管理ができないために、義歯を紛失した場合などです。
などです。ただしこれは例外的な扱いであり、通常は認められません。
6.どうしてもすぐに入れ歯が欲しいという時
どうしても6か月以内に入れ歯を作りたい場合、自費診療であれば可能です。
保険の入れ歯と同じものが欲しいといっても費用は異なります。
自費診療は、医院によって費用が異なりますので、歯医者さんに相談してください。
まとめ
入れ歯を保険で新しく作れるのは、原則として前回から6か月以上経ってからです。
違和感や不具合があっても、まずは調整や修理で改善を図ることが可能ですので、気になる点は我慢せずに歯科医に相談しましょう。