歯ブラシだけでは不十分? デンタルフロスの効果と正しい使い方

2025年06月18日

デンタルフロスと聞いて、「ハードル高いな、難しそう」「面倒だな」と思っていませんか?

歯ブラシで十分磨けているから大丈夫と思われているかもしれません。

実は、歯ブラシだけでは、歯の汚れの約60%しか取れないといわれています。

汚れの残りやすい、歯と歯の隙間、歯ぐきのポケットなど、歯ブラシが届かない場所に、虫歯や歯周病の原因となる細菌が潜んでいます。細菌の塊が歯垢です。

歯磨きしているのに虫歯ができるのは、歯と歯の間を磨けていないことが原因かもしれません。

そこで登場するのが、デンタルフロス。

デンタルフロスは糸状の清掃器具で、歯と歯の汚れを取るのにとても効果的です。

糸ようじという商品名で認知されている方もいらっしゃるかと思います。

デンタルフロスの効果

歯ブラシにプラスしてフロスを使うことで、歯垢除去率が約80%までアップ!さらに、歯間ブラシを併用すると85%近くまで達すると言われています。

※参考サイト 日本歯科医師会 お口と全身の健康を学べるWebマガジン

https://www.jda.or.jp/happysmile2022/column/

フロスはできたら毎日使いましょう!ですが、はじめは、気になるところだけ、ものが挟まったら、爪楊枝の代わりに始めるでも構いません。

まずは「フロスを使用する」ことを始めましょう。

歯垢は24~48時間で歯石に変わると言われています。

石になったら、自力では取れなくなるので、歯石に変わる前に取り除きましょう。

できたら就寝前の使用をお勧めします。

睡眠中は、唾液の分泌が減り、細菌が繁殖しやすくなるためです。

デンタルフロスの種類

デンタルフロスには、大きく分けて「糸巻きタイプ(ロールタイプ)」と「ホルダー付きタイプ」の2種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分の使いやすさやライフスタイルに合わせて選ぶのがコツです。

糸まきタイプ

歯科医院で使用しているのは主にこちらになります。

必要な長さだけ切り取り、指に巻きつけて使うタイプ。細かく調整できるので、すべての歯間に対応可能で、経済的なのが魅力的。

ただし、慣れるまで少し練習が必要です

ホルダー付きタイプ

プラスチックの持ち手にフロスが付いていて、片手で操作できるため、初心者にも使いやすい。

糸巻きタイプ(ロールタイプ)の特徴と選び方

西宮北口 歯医者 デンタルフロス糸の素材や太さも選べるので、カスタマイズ性は抜群です。

素材による違いと特徴

ナイロン

擦力が高く歯垢除去力がすぐれている。痛みに敏感過ぎない方、歯垢をしっかり取りたい人にお勧め。人によっては、少し硬めで痛みを感じることがある。

ポリエステル

柔らかくて歯ぐきにやさしい。歯ぐきが敏感な人にお勧め。糸が切れやすいので力加減に注意が必要

ポリエチレン

強度が高く切れにくく、狭い歯間にも入りやすい。歯間が狭い人、歯並びが密な人にお勧め。糸が細いので、歯間が広めの方は、何度も往復する必要がある。

ワックスの有無の違いと特徴

ワックスあり

滑りやすく、歯間にスムーズに入るため初心者向け。

ノンワックス

摩擦が大きいため歯垢除去力は高いが、糸を引っ張るのにコツが必要。

その他

糸を歯間に差し込むと、口内の水分で糸がスポンジ状にふくらむタイプ(エクスパンドタイプ)、テープ状のタイプもあります。

使い始めは扱いやすい「ナイロン+ワックスあり」で始めて、慣れてきたら、新しいものにチャレンジしていくと失敗しにくいですよ。

当院で取り扱っているフロスは「ナイロン+ポリエステル」のため、歯肉を傷つけにくく、マイクロファイバーの応用で歯垢をしっかり取り除くことのできるルシェロフロスです。

初心者にもお勧めですので、気になった方は衛生士にご相談ください。

ホルダー付きタイプの特徴と選び方

ホルダー付きのデンタルフロスは、手軽に歯間掃除をしたい人にぴったり。

特に初心者や子どもにも扱いやすいアイテムです。

種類も豊富で、持ち手の形状によって用途が分かれています。

西宮北口 歯医者 デンタルフロス主な形状は以下の2種類:

F字型: 前歯の歯間に使いやすい形状

Y字型: 奥歯に届きやすい形状。

F字型の中には少し曲げることができて、奥歯まで届くものもあります。

また、Y字も前歯に全く使えないということはなく、兼用は可能ですので、ご自分に合ったものを使いましょう。

もちろん、2つのタイプを使い分けると、楽に口の中のすみずみまでケアが可能になります。

ホルダー付きタイプにもワックス加工の有無があるので、フロスの通しやすさや歯垢除去力に応じて選びましょう。

薬局で販売しているフロスは1回使い捨てのものが多いのですが、中には洗浄すれば繰り返し使用可能なものもあります。

購入の際には、取り扱い方法をみてご自分でできそうな方を選んでください。

最近では、ヘッドの交換ができる製品も出ています。

使い方がわからない、どれを選べばいいかわからないという時は、衛生士に相談してくださいね。

デンタルフロスの正しい使い方

フロスを選んだら、次は使い方です。

糸巻きタイプと、ホルダータイプで異なります。

糸巻きタイプの使い方手順

西宮北口 歯医者 デンタルフロス使い方

40cmほどフロスをカット

両手の中指に2〜3回巻きつけ、間に15cmくらいの長さを残すようにします。

西宮北口 歯医者 デンタルフロス使い方

ピンと張って持つ

両手の親指と人差し指でフロスを操作。歯間に入れる際のコントロールが重要です。

西宮北口 歯医者 デンタルフロス使い方

ゆっくり歯間に挿入

小さくノコギリを引くようにして、優しく歯間に通します。勢いよく入れると歯ぐきを傷つける可能性があるのでNG。

デンタルフロス 使い方

歯ぐきの中まで滑らせる

軽く押し込み、歯の側面に沿って上下に2〜3回動かします。片側の歯ともう片側の両面をそれぞれ清掃。

別の歯間へ移動

新しい部分のフロスを使って繰り返し作業します。

ホルダー付きタイプの使い方手順

ホルダーを持ち、フロスを歯間に当てる: 片手で持てるため、鏡を見ながら使いやすいです。

ゆっくり挿入

ノコギリを引くようにして、ゆっくり歯間へ入れていきます。

歯面に沿わせて動かす

上下に数回こすりながら、歯垢を取り除いていきます。奥歯の裏側もしっかりケア。

汚れたらティッシュで拭く/水洗

歯間を1か所ケアするごとに、糸部分を拭いたり洗ったりして清潔に保ちます。

このタイプは「思い立ったらすぐ使える」のが強み。ポーチに入れておけば、外出先でもサッと使えるのが嬉しいポイントです。

共通の注意点とコツ

鏡を見ながら丁寧に

慣れないうちは鏡を見ながら行いましょう。特に奥歯は見えにくいため、動かす方向や深さに注意。

無理に押し込まない

無理に入れると歯ぐきを傷つけて出血する可能性もあります。やさしくが基本。

1日1回、夜の使用が理想的: 就寝中は細菌が繁殖しやすいので、夜寝る前の使用がベスト。

「めんどくさいから続かない」という方、すぐに効果が出るものではありませんが、継続すると、朝、お口の中がすっきりして気持ちいいなと変化が感じられるようになります。

正しい使い方をマスターすれば、毎日のケアが苦じゃなくなりますよ!

デンタルフロスの効果とメリット

虫歯・歯周病の予防

虫歯や歯周病は、歯と歯の間から静かに進行します。

フロスで歯間部のプラークを日々除去していれば、炎症の原因になる細菌の数を抑えられ、歯ぐきが健康に保たれます。実際に、歯周病の初期症状である「歯ぐきの腫れ」「出血」などが、フロス習慣によって改善したという報告があります。

「毎日フロスをする人は、歯周病リスクが約3分の1に減る」といった研究データもあります。是非、フロスを習慣にしていきましょう。

口臭予防・改善

試しにフロスを使用したら、嫌なにおいが・・・ということはありませんか。

フロスに歯垢がごっそり。これが口臭の原因になっているかもしれません。

デンタルフロスで毎日歯垢を取り除くことで、口臭の予防にもなるのです。

マウスウォッシュでは、臭いをマスキングすることはできますが、歯垢をしっかりと取り除く効果まではありません。

試しにでもフロスを使用してみませんか?

早期トラブルの発見

フロスを使っていて「なんか引っかかる」「フロスが通りにくいな」といった違和感がある場合、それが虫歯や被せ物が外れそうなどのサインであることもあります。

毎日フロスをしていれば、自分の歯の小さな異常をいち早くキャッチできるようになります。

小さな異常のうちに歯医者さんを受診すれば、簡単に済むかもしれません。

毎日のセルフチェック、有効ですよ。

デンタルフロスのデメリットは?

デメリットは、誤った使用法をしたときに起こります。

使用法を誤ると、歯の表面を削ってしまうということが起こります。

力をかけすぎると起こりますので、適切な力で使用するようにしましょう。

フロスをしたら「血が出た」と「歯ぐきが痛くなった」というお話を伺いますが、健康な歯ぐきで、適切な力でフロスを使用すれば、血が出ることはほとんどありません。

歯ぐきが腫れていと血が出やすくなるので、元々歯ぐきの腫れがあったために出血したのかもしれません。適切に使用を続けていれば、症状は改善することが多いです。

出血しない歯ぐきを目指して使用を続けましょう。

もちろん、誤った使い方、強い力で押し込むなどをすれば、不必要に血がでたり、歯ぐきが痛くなったりしますので、気を付けましょう。

気を付けて使用していても、長く出血が続く、痛みが続くという場合は、歯医者さんに相談しましょう。

まとめ

デンタルフロスを毎日の習慣にすることで、お口の健康を維持し、虫歯や歯周病のリスクを減らすことができます。使い方がわからない、フロスを選べないときは、歯科衛生士に相談しましょう。