糖尿病と歯周病の深い関係

2024年01月13日

以前、全身疾患と歯周病の関係についてはスタッフブログでお伝えしましたが・・・

西宮北口 歯医者 糖尿病と歯周病の関係その中でも糖尿病と歯周病は、第6の合併症と言われるくらい関係が明らかになっています。

※スタッフブログ 歯周病は口の中だけではなく、実は全身の健康に影響するんです

https://www.aobahiro-dc.com/column/2023/2899/

糖尿病はここが怖い

糖尿病は、インスリンという血糖値を下げるホルモンの働きが十分でなくなるために、血糖値が上昇した状態が続く病気です。

血糖値が多少高くても自覚症状が出にくいため、気づきにくい病気です。

糖尿病を発症すると様々な合併症が出てきます。

西宮北口 歯医者 糖尿病合併症糖尿病の3大合併症は「神経障害」「網膜症」「腎症」→「し・め・じ」の順に起こります。

さらに、動脈硬化による冠動脈疾患、脳血管障害などが続きます。

第6の合併症と言われるのが歯周病です。糖尿病の悪化で歯周病の進行が早まり、いったん歯周病の治療が終わっても、再発のリスクは高くなります。

糖尿病のコントロールの指標であるHbA1cが7%を超えてくるとリスクが上がると言われています。

他の合併症のリスクと考え併せてもHbA1c 7%以下にしておくことが大切と言われています。

高血糖による歯周病への影響

高血糖が長い間続くと、細小血管が障害されたり、組織の修復が遅くなったり、免疫が低下したりすると言われています。

細小血管の障害は、歯周組織の最小血管への血流も低下させ、歯周組織の障害を引き起こします。

障害された歯周組織の修復は、高血糖により遅くなります。

高血糖は、免疫機能も低下させるため、歯周病菌の増殖を許すことにもなり、歯周病が悪化していきます。

糖尿病の悪化による口腔機能への影響

糖尿病が悪化すると脱水により口腔乾燥が起こります。

糖尿病により、糖尿病性自立神経障害が発症すると、唾液分泌が低下する場合があります。

唾液がないと、口腔内の自浄作用も低下してしまうため、歯周病が悪化します。

唾液がないと、口のうるおいも保たれません。

うるおいがないと、味蕾という味を感じる場所に味が届かないので、味覚障害が生じることがあります。

歯周病による糖尿病への影響

歯周病が糖尿病に影響する仕組みは、主に2つあります。

1つ目は、直接血管内に入った歯周病菌が原因となり、軽度の菌血症が起こることにより引き起こされる反応です。体にとっては、血管内に歯周病菌がいることで、ずっと細菌と戦う状態に置かれ、炎症状態になります。

炎症が起こると、インスリン抵抗性(インスリンの働きが悪くなる状態)が少しずつ亢進し、血糖値の上昇を引き起こします。

2つ目は、歯周病の炎症反応で作られるサイトカインと言われる物質が、血中に入ることでおこる反応です。

歯周病菌の持続感染により、サイトカインがたくさん作られます。

循環血中に流出したサイトカインが炎症反応を亢進させます。

炎症反応が亢進すると、インスリン抵抗性も亢進し、血糖を上昇させると考えられています。

歯周病による口腔機能低下によっておこる糖尿病への影響

歯周病は歯を失う原因No1です。

歯周病によって歯を失うと、噛む力は低下します。

歯が少なくなると、野菜の摂取量が減少し、食物繊維や抗酸化ビタミンが不足しやすくなり、タンパク質の摂取も減少します。

食事の際に先に食物繊維を食べることで糖の吸収を緩やかにすることができますが、食物繊維をとることが難しくなるため、食後の血糖の悪化が起きます。

炭水化物中心の柔らかい食事になりがちなため、さらに血糖値が上がりやすくなります。

タンパク質が不足すると、筋肉量の低下、運動量低下による血糖上昇が起こります。

※参考サイト e-ヘルスネット 歯の喪失の原因

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-04-002.html

歯周病を治療しましょう

最近では歯周病と糖尿病は密接に関連していると言われており、歯周病の治療をすると血糖コントロールが改善するという研究成果も数多く報告されています。

2型糖尿病では、歯周治療により血糖が改善する可能性があるため、歯周治療が推奨されています。

しかし、歯周治療を受けても血糖値の低下が起きない場合もあり、アメリカでは歯周治療による血糖コントロールの改善効果を否定する報告もあります。

歯周病の影響を受けやすい糖尿病は、体格指数(体重[kg]÷身長[m]²)が25kg/㎡前後のややぽっちゃりした体格で重度歯周病を合併した2型糖尿病の人と言われています。

この条件にお心当たりのある方は、歯医者さんで歯周治療を受けましょう。

もしかしたら、歯周病だけではなく、血糖値の改善も見込めるかもしれません。

一般に歯周治療で改善する糖尿病のHbA1cは平均0.4%、かなりの効果です

歯周病が進んできた気がするという方、一度歯医者さんを受診してくださいね。

当院では、重度歯周病の治療も行っております。

歯周病の治療は、治療して終わりではなく、再発しないように維持するのがとても大切です。

治療効果を維持するために定期的検診もお勧めしています。

 

※糖尿病情報センター 糖尿病と歯周病の深い関係

https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/070/040/01.html#08

※日本歯科医師会 歯周病と糖尿病の関係

https://www.jda.or.jp/park/relation/periodontaldisease-diabetes_02.html